◆ 課題達成型アプローチ

 

現状 vs. 目指す姿

 

目指す姿をどのように設定するか。

 

l          方法1:ベンチマーキングを踏まえたベストプラクティスモデルの抽出。

l          方法2:世の中の規範の導入。

 

◆ 問題解決型アプローチ

 

関係者が持つ問題(目的を達成できない状況・懸念など)を分析し解決に導く。目的自体に変更が無ければ、このアプローチで達成できるのは現状維持になる。目的が変化していく時は、その目的の変化の内容が全体の中でどのような意味を持つのか、局所的なアプローチでよいのか全体最適を求めているかにより対応は変わる。

 

局所的な対応で済む判断をした場合は、特定プロセスのブレに対する取り組みの一環と出来る。

 

全体最適が必要な場合はトータルなプロセス設計が必要になるため、構想レベルからの再スタートになり、内容的には課題達成型アプローチが適している。

 


◆ ISMSは課題達成型アプローチである。

 

情報マネジメントに関連する諸問題を一つずつ解決して行っても、埒が明かない。一種の慢性トラブル。抜本的なマネジメントシステム改革を狙うもの。

 

独自に、ベンチマーキング、ベストプラクティスモデル抽出の作業をやり切れるところは、自分達で有るべき姿を描くことが出来るが、相当の工数を確保できない場合は世の中の規範としてのISOモデルを利用する。一種のベースラインアプローチである。ISOモデルをクリアして尚改革を目指す場合は、その後にベンチマーキングなどの手法を経て更に高いレベルを目指す姿として設定して進めることが出来る。

 

ISOモデルもクリアできないでベンチマーキングもくそも無い。独自にモデルを作ってコンサルとしての固有の価値を主張する向きがあるが、ベースはしっかり押さえて欲しい。ベースを等閑にしたコンサルテーションは今一信用できない。

 

実際の審査では、標準の管理策(127/133個)を越えて、自ら設定した事例は殆んど見られない。固有の事業上の要求を踏まえた管理目的と管理策が具体化されている例はあるが、ベンチマーキング等は見えてこない。金融関係、国防関係、IT先進トップ企業の事例を見てみたいものだ。